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China Central Television Headquarters, 北京

CCTV新本社は“3次元のクランク状ループ”と表されている

中国中央電視台(中国中央テレビ、CCTV)の新しい本社ビルは最高高さ234mで、極めて珍しいフォルムをしています。その姿は“3次元のクランク状ループ”と表されています。この建物は2棟の傾斜したタワーが頂部と下部で90度折れ曲がって連結され、連続したチューブを形成しています。

このビルは主に建物表面の不規則なグリッドによって支えられており、これはチューブ状の建物の表面に伝わる力の流れを表現しています。グリッド間隔が小さい部分ほど荷重が大きく、より多くの力を負担しています。トラスで構成されたチューブ構造で建物全体を包むことにより、想定される地震力に耐えうる以上の高い安全性を提供しています。

連結前の各タワーは、風や、直射日光による表面温度の変化に影響を受けやすい状態でした。従って、設計段階において施工性を考慮することや、連結前のビルの挙動を把握することは極めて重要でした。

この建物には管理部門、報道、放送、スタジオ、番組制作機能のゾーンを有しています。そのためCCTVはグローバル放送の提供が可能になり、これまでの13チャンネルから大きく数を増やし、200以上のチャンネルを持つこととなりました。

不可能を可能に

重力を感じさせないこのビルの構造は、今までの超高層ビルの概念を塗り替えました。特に傾斜した2棟のタワーを連結することは、アラップのエンジニアにとって、これまでにない挑戦となりました。北京の極寒酷暑の気候により構造材が伸縮するため、連結前に2棟のビルの挙動を把握することは、エンジニアリング上の重要事項でした。陽が登る前であれば2棟とも同一温度であり、環境によるビルの動きも最小限にとどめられることから、連結作業は早朝に行われました。

連結前に、接合部の位置や寸法を正しく把握するため、アラップはビルの全体的な挙動と相対的な挙動について、5日間に渡り観察と記録を行いました。わずか数分でタワーを連結することが求められたため、施工直前に連結部材の最終調整が行われました。最終的に連結は、鋼材温度が最も一定である冬の朝8時に行われました。