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CIC ZCB, 香港

とりまく環境から生じる課題を克服し、香港初のゼロカーボン・ビルを実現

2012年6月にオープンしたこの施設は、香港の建設業協議会 (CIC) のゼロカーボン・ビル (以下ZCB) の先駆的なプロジェクトです。香港の人々に最先端のZCB技術を広く伝え、持続可能な生活への関心を高めることを目的としています。

アラップは本プロジェクトの構造設計、設備設計、地質エンジニアリング、土木設計をはじめ、環境設計および各種エンジニアリングを全面的に提供しました。

ゼロカーボンを超えて

このビルはこれまでのZCBの概念をしのぐ技術を、取り入れています。施設は 地域の公共送電グリッドと連動しており、太陽光パネルとバイオディーゼル主体のトリジェネレーションシステム(以下トリジェネ)を併用しています。敷地内で再生可能エネルギーを生みだすことにより、年間で施設の消費するエネルギーをゼロにしています。余剰エネルギーは送電グリッドに供給され、この建物の建設過程や使用建材を生成する工程で消費したエネルギーを補完し、ゼロカーボンを実現しています。

トリジェネの燃料には、再生可能エネルギーであるバイオディーゼルを大規模に利用していますが、これもまた香港初の取り組みです。廃食用油を使用してエネルギーを生産する仕組みの1つで、廃棄物処理とエネルギー生産という2つの課題を解決できました。

また敷地内で、40種以上にもなる220本もの自生樹木とさまざまな低木を育成している、香港初の施設です。これらの樹木は環境にも人々にも、快適なエコシステムを提供しています。

環境効率への統合的アプローチ

この建物は最先端の環境設計技術を国内外の建設業界に示す、モデル・プロジェクトです。カーボンニュートラルを達成するために、緑を積極的に活用しています。また敷地内で再生エネルギーを生成する仕組みと組み合わせた、パッシブデザインの統合的なアプローチが採用されました。

通風レイアウト、高性能ファサードなどのパッシブデザインを採用することで、省エネ効果を上げ、エネルギー消費を20%削減しました。大容量低速ファンや除湿空調のようなシステムを採用することで、更に25%の省エネを実現しました。また、効率的な再生エネルギーの生産は、従来の電線網からエネルギー供給を受けるのに比べてエネルギー利用を75%改善しました。

先進技術以外にも、効率的な構造設計や建設方法を通じて、ビル建設中の資材やエネルギー使用量を減らす努力も行われました。建設には可能な限り、再生材や持続可能な材木が使用されました。建設中に掘削した土は廃棄物を減らすために、都市の自生森林樹木用の土として使用されました。

全体としてこの施設は90以上の、環境における先進的な工夫点 を備えています。この模範的プロジェクトは、香港における高い環境性能建物に与えられる最高の評価BEAM Plus Platinumを獲得し、グリーンビルディングアワード2012のグランドアワード(新築部門)に選ばれました。