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大東建託 「ROOFLAG(ルーフラッグ)賃貸住宅未来展示場」, 東京都江東区

広大なアトリウムを覆うCLT造の三角格子架構

賃貸住宅を中心として建設事業や不動産事業を行う大東建託の展示施設「ROOFLAG(ルーフラッグ)」です。

建物は、国内最大級の断面寸法によるCLT(直交集成板)の梁を使用した三角格子架構が特徴の広大なアトリウムと、これに面する鉄筋コンクリート造4階建ての本体部分によって構成されており、本体部分には、シアタールーム・レクチャーホール・展示施設・オフィス・商談室がおさめられています。

アラップは構造設計とその現場監理を担い、マウントフジアーキテクツスタジオと協働して、この建物を実現するための多くの課題を解決しました。

プロジェクト概要


128 CLTの梁ピース数

2,300mm梁せい

30最大スパン(短辺方向)

マッシブな木造三角屋根を支える

木の量感あふれる巨大な三角屋根架構は、その外周3辺をそれぞれ、4階建て鉄筋コンクリート造部分の屋上、前面道路に沿ったガラスファサードの細いマリオン柱、および側面の外壁内の鉄骨柱によって支持されています。

Ⓒ 東急建設株式会社

この三角屋根に作用する地震時の水平力は、その全てが剛強な鉄筋コンクリート造部分を経由して地面まで伝達されるように計画されており、それによって耐震要素を前面道路側に配することなく透明なガラスファサードを形成することが可能となりました。


国内最大級のCLT屋根

広大なアトリウムを覆う北向きに傾斜した木造三角屋根は、128枚のCLT(直交集成板)パネルによる梁ピースを3方向に繋ぎ合わせることによってつくられており、使用されたCLTパネルの最大寸法270mm×2,300mm×12mは、日本国内で生産可能なほぼ最大のサイズです。一方、架構の最大スパンは短辺方向でもおよそ30mと、CLTパネルの長さをはるかに上回るものです。そこで仕口接合部には、せん断力を伝達するためのせん断コネクタと、軸力・曲げを伝達するためのラグスクリューボルトという2種類の接合方式を用い、これによって美観を損ねることなく接合部を梁部材と同等に剛強なものとすることができました。

【タイムラプス】CLT大屋根ができるまで/ROOFLAG賃貸住宅未来展示場 © 大東建託株式会社
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組立てに配慮した架構計画

梁成2,300mmという巨大なCLTの梁が各節点で3方向に交差する密な架構であるため、完成後の部材応力だけでなく現場での建方順序や接合方法も考慮した上で各節点における部材の勝ち負けを適切に設定することが設計上の重要な課題でした。

組み立ての順番を誤ると、はめ込めない部材が出て来るため、設計者と施工者の間で3Dモデルを共有して検討した上で実物大のモックアップを作成し、品質・安全性・施工性に対する入念な確認をおこないました。結果的に、このCLTの大架構の組み立てはわずか54日間で計画通り円滑に完了しました。

Ⓒ 東急建設株式会社

受賞歴

第6回 ウッドデザイン賞2020 ライフスタイルデザイン部門 建築・空間分野