言語の変更
JA
; ;

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ・サウス, シンガポール

3000枚以上のガラスで覆われた、世界最大級のドーム型植物園

2006年1月、シンガポール、マリーナ・ベイの沿岸部に計画される世界最高峰の熱帯植物園の国際コンペが開催されました。70を超える応募の中から、グラント・アソシエイツ+ウィルキンソン・エアが最優秀賞を受賞しました。

彼らのマスタープランは、18本のスチール製のスーパーツリー、6つのダイニングエリア、環境制御された2つのガラスドームで構成されています。施設はそれぞれ“フラワードーム”、“クラウドフォレスト”と名付けられ、54ヘクタールに及ぶベイ・サウスのハイライトとなっています。

世界最大級の規模と、無柱という特徴を備えたガラスドームには、25万種を超える植物が生育しています。フラワードームは、主に地中海沿岸地域や亜乾燥・亜熱帯地域に生息する花や植物を展示するため、23-25℃に冷房されています。クラウドフォレストは、山頂から植物の生態を再現しています。

それぞれ16,000㎡の面積を有するドームは、3,300枚以上のガラスで構成されており、内部からマリーナ・ベイのスカイラインをはっきりととらえることができます。アラップはガラスの割り付けを合理化し、扱いやすいサイズかつ反復性のある割り付けとすることで、製作性、施工性、メンテナンス性を向上させました。温室効果を緩和するため、可視光透過率65%、日射熱取得率35%の、高性能ガラスを使用しています。また、換気口の電気制御によって、排熱経路も確保されています。さらに、直射の強い日には、光センサーによってロールスクリーンが作動し、アーチ状の鉄骨フレームからファブリックの帆が広がります。

 

現地の防火基準はこのような特殊な建物に対応していなかったため、アラップは性能設計を用いて解決方法を導き出しました。火災時にはドーム形状を生かした、自然排煙を行う方法です。これにより区画を設けることなく、ひとつの大空間としてのドームをつくることが可能になりました。また現地基準で要求される、スプリンクラーや煙感知器も不要となりました。

今後は、32ヘクタールのベイ・イースト、15ヘクタールのベイ・セントラルと開発が続き、ガーデン・バイ・ザ・ベイ全体の完成は2015年になる見込みです。