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Forestry Hall Tomochi; Forestry Hall Tomochi;

砥用町林業総合センター, 熊本県下益城郡

ブッシュをイメージした、木と鉄のハイブリッド建築

熊本県の緑豊かな丘陵地に、この小さな集会所は建っています。林業の町にふさわしいよう、地元のスギ材をふんだんに使い、町のシンボルとなる建物にして欲しいとの要望がありました。一部2階建のほぼ平屋なこの建物は、いっけん不規則に見える木質の繭がガラスの箱におおわれているようです。「山腹に現れた、人工的なブッシュ(茂み)」と、そのイメージを建築家・西沢大良氏は設計の際に表現しました。

構造計画をする際に、アラップがテーマとしたことは「複雑な形態を、いかにシンプルで合理的なシステムにするか」でした。この目的を満たすために考え出したシステムが、鉄骨材と木材のグリットが45度の角度で交わる、お互いに助け合う混合構造でした。

林業の町のシンボルとなるデザイン。

屋根面は鉄骨梁と格子状の集成材とがトラスを構成し、壁面は斜めに交わる集成材が格子壁と同時に筋交いの役割をはたしています。また、45度の角度で交わることは屋根トラスが面として作用する効果があるため力が効率よく分散し、部材断面を小さくすることができました。

構造的な特徴としてはもう一つ、基礎にコンクリートを使用しなかったことが上げられます。比較的上部の構造が軽量だったため通常のようにコンクリートは使わず、基礎も再利用がしやすい鋼製としました。鉄骨材の1階床梁と鋼管杭を直に接続して基礎構造としています。これは環境に配慮するだけでなく、コストと工期の両方にメリットを出すことが可能となりました。