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High Roller, ネバダ州、ラスベガス

ハイローラー 観覧車

ハイローラーは、ロンドン・アイやシンガポール・フライヤーによって築かれてきた観覧車の歴史に新たな1ページを加えました。観覧車が建つのは、シーザーズ・パレスホテルから続く繁華街と交差して、カジノや高級レストラン、高級ブランドのアウトレットが約400mにわたって並ぶ通りです。この通りは、カジノホテルチェーンのシーザーズ・エンターテイメントが展開する新たなエンターテインメント・スポットとして開発され、ハイローラーはその目玉として建設されました。現在、世界第一位の高さを誇る観覧車の最大の特徴は、28の球体キャビンを支えるチューブ状の外輪です。最大40名まで乗車できるキャビンでは、音楽や動画等のエンターテインメントとともに、くらくらするようなラスベガスの眺めを30分にわたって楽しむことができます。

アラップは、構造、機械設備、電気設備の各種エンジニアリングと、音響、火災安全設計のコンサルティングを行いました。ラスベガスに新たなスカイラインを描いたハイローラー、2014年3月のオープン以来、世界各地から多くの人が訪れています。




ユニーク・デザイン

設計を進める上で多くの課題をもたらしたのは、敷地条件です。地上にはモノレールと道路が走るため、支持構造に与えられた建築面積は、観覧車の規模に対して非常に小さいものでした。アラップは詳細な検討の末、4本の傾斜した支柱と、通りをまたいで設けられた斜材によって、リングの中心を支持するという解を導きました。また、球体のキャビンを採用し、広々とした内部空間から大パノラマの景色を堪能する、新たな空間体験を提案しています。

設計耐用年数に当たる50年の間に、観覧車は65万周も回転することになります。それゆえ、疲労耐久性についても検討が不可欠でした。数限りない解析を繰り返し、鉄骨のディテールを設計するとともに、ベアリング、鉄骨、ケーブル材、接合部への集中応力に配慮したスペックを策定しました。

キャビン内の環境制御

設計は乗客の快適性を最優先して進められました。ネバダは、極めて気温が高く、日射量も多い場所です。キャビンの内部を快適な環境にするために、CFDを用いて、空調システムと外皮の最適化を行いました。キャビン内の空調負荷を低減するため、曲面のガラスは複層ガラスになっています。また、風洞実験を実施し、制振についても配慮しました。