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おりづるタワー, 広島県広島市

既存ビルを活用したサスティナブルな広島の新しいランドマーク

希望や復興、祈りの象徴である折り紙の鶴に由来して名づけられた「おりづるタワー」は、1978年竣工の旧耐震基準によって建設された築35年超えの12階建てオフィスビルを全面改修して生まれた広島の新しいランドマークです。

既存建物を東西から挟み込むように鉄骨造の躯体で補強、増築し、現行基準を1.5倍上回る耐震性能を確保しています。また、三分一博志氏の設計コンセプトのもと西側増築部のバルコニーからは中間期~夏季の周辺に吹く卓越風が流入し、自然通風を可能とした機械空調設備への依存を低減した環境計画を取り入れました。

建物1階には物産館とカフェを、11階までをオフィス空間とし、12~13階には展望施設を備えています。東側増築部の1~13階のスパイラルスロープは、広島の風の流れや風景の変化を感じられるように半屋外(外部)空間となっています。建物を印象づける北側通り沿いのおりづるが描かれたガラス張りの壁には、来場者が折った鶴を投入できるつくりとなっています。

プロジェクト概要


35 築年数

1.5現行基準に対しての耐震性能

1978竣工

13階の屋上展望台 「ひろしまの丘」

新たなランドマークの誕生

広島市の中心部西に位置する「おりづるタワー」は、原爆ドームと平和記念公園に隣接する被爆地にも近い歴史を刻む土地に建てられました。この特別な場所に誕生した新しいランドマークとなる14階建てのビル内には、広島の自然と街並みを一望できる展望台のほか、自然風が吹き抜けるオフィス、1階には地元のお土産を揃える物産館や、広島ならではの味を楽しめるオープンなカフェ空間などが設けられています。
三分一博志氏の設計のもと、アラップの構造設計、環境シミュレーション技術により、旧耐震ビルが広島の新たな顔となるサステイナブルな建物へ生まれ変わりました。


旧耐震から現行基準1.5倍の耐震性へ

既存建物は、1981年の建築基準法改正以前に建てられた「旧耐震」の鉄骨鉄筋コンクリート造で、現行基準に対して30~50%程度の耐震性しか備えていませんでした。東側のスパイラルスロープと西側のバルコニーを一部耐震補強として既存躯体の両側に増築することで、現行基準を1.5倍上回る耐震性能を持たせることに成功しています。
建物のバランスを悪化させていた重いコンクリート壁を撤去し、外壁を軽いカーテンウォールに置き換えることで、耐震性を確保しました。補強鉄骨と既存部分をPC鋼棒により一体化し、さらにこれらの増築部分の直下には新たに杭を打設し、建物の荷重を安全に地盤に伝える処置をとりました。

広島の風を活かした自然通風のオフィス

アラップは、敷地における季節ごとの卓越風がオフィス空間を流れる様子を、自然通風のCFDシミュレーションで評価しながら、フレキシブルなレイアウトにも対応できる適切な開口のあり方を導き出しました。中間期には、北西側のガラスを締め切ることで、南西風を南側から取り込み、北側に抜ける風をオフィス内にまんべんなく行き渡らせる計画としています。一年を通して空調制御された一般的な密閉型の執務空間とは異なり、外部の環境や季節感を取り入れることのできるインタラクティブなオフィス空間のあり方を提案しています。

リノベーションの可能性

建て替えとせず全面改修にすることで、既存建物の高さを51.5mに維持し、広島の美しいパノラマの眺望を望む展望台(屋上広場)の増築を可能としました。
屋上には塔屋を超えない高さで全体に鉄骨造の屋根を架け、さらに床面に勾配を設けることで、訪れた人たちが座るスペースを確保する目的だけでなく、より広島の風を感じられる空間を演出しています。