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Hoto Fudo, 山梨県富士河口湖町

富士山麓でひときわ目を引く、純白のレストラン

アラップは本プロジェクトにおいて、構造デザイン・環境デザイン・火災安全設計および監理業務を担当しました。

このような独創的かつ挑戦的なデザインは、単なる造形としての建築物ではなく、デザインコンセプトを維持し、意匠/構造/環境すべてにおける合理性や機能性について分野を超えた協議を重ね、フォルムに落とし込む設計プロセスによって実現できました。

構造材で断熱材を挟み込んだサンドイッチ鉄筋コンクリートシェル構造システムは、積雪や地震、日射や暑熱といった外的因子に耐える建築システムです。安定した躯体蓄熱により余剰な熱を用いずに、パッシブに室内の温度をコントロールできます。そのため、極寒時用の小さなストーブ以外に空調機器がなくても、一年中、快適な室内環境を保つことができます。さらに、日中は自然光を取り入れることにより、最小限の照明でも飲食時に必要な明るさを確保できています。

このようなユニークで洗練されたデザインの“ほうとう不動”は、富士河口湖地域を観光する人たちにとって郷土料理を楽しむ新たな場所となりました。

構造デザインについて

富士山の麓という地域性を考慮し、意匠・構造・温熱・光環境が一体として働くスキンとしてのサンドイッチシェル構造を提案しました。常時荷重・非常時荷重(地震・風・積雪)に対して、全て面構造で抵抗する構造システムとなっています。

厚さ100mmの鉄筋コンクリートと、高耐久でひび割れを抑制する15mmのガラス繊維入りコンクリート(GRC)で、60mmの硬質ウレタン材をサンドイッチし、強度と環境性能の高い長寿命なシェルを実現しました。

また、自由曲面の極薄シェルを構築するために、トラスウォールシステムを採用しています。工場にて3次元形状にプレファブ化された鉄筋型枠を200ユニット製作することで、現場での複雑な型枠工事を極力低減し、高精度かつ短工期な施工が実現できました。

最高高さ7.5m、延床面積734㎡の空間を構成するシェル形状は、屋根に水が滞留せず、開口部建具が収まるような制約条件のもと、軸力をスムーズに地面に伝える形状を、逆さ吊りの原理を利用した感度解析によって、躯体のひずみエネルギーが小さくなるような曲面としました。