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NUIG Engineering Building, ゴールウェイ

校舎自身が教育ツールとなり、学生に学ぶ場を提供する建築

アイルランド・ゴールウェイ国立大学(NUIG)は、1849年の開学当初から、工学の分野においてアイルランドにおける教育・研究の中心をなしてきました。このたび竣工した工学棟には、土木工学、電子工学、生産工学、水質学、機械・生物工学の5つの専門分野が設置されました。

2011年7月に竣工した工学棟には、大小さまざまな研究室、事務室、教室、講演ホールが配されています。ゴールウェイで最も有名な川、コリブ川岸辺に位置することから、川の描くカーブに沿ってデザインされています。

4階建、400室、延べ14,250㎡にわたる工学棟は、2011年9月の新学期から、1,100人の学生と110人の大学スタッフにより使用されています。技術の新しい潮流の中、革新と開拓精神に溢れる、新たな時代のエンジニア達がこの校舎で学んでいます。

教材としての校舎

最先端の教育施設を目指した工学棟のデザインは、一貫してサステイナビリティという方針に基づいています。この方針は、構造計画においても適用されており、経済的合理性、仕上げとの適合性、施工性、サステイナビリティ、材料調達のしやすさ等を重視して計画されました。

また、将来のプラン変更に柔軟に対応すべく、可変性についても最大限考慮した計画となっています。一方で、建築自身が教育ツールとして機能する、ということも目標として掲げられました。この目標は、多くの学科にわたり、研究環境を取り巻く素材やシステムで実行されています。

NUIG工学棟の構造・設備は、それ自体が学びの対象となるよう、あえて露出して計画されています。同時に、高度な工学系研究室、多様な植物によって緑化された屋上、気候制御型のファサードが備えられ、さまざまな低炭素技術も取り入れられています。そのため設計から施工まで、技術的に多くのチャレンジがありました。

 

前述のように、この建築は自らを教育ツールとして、生きた研究対象として活用されています。ガラスパネルが埋め込まれた床からは、その下にある基礎や杭頭、スラブの構造をのぞき見ることができます。コンクリート壁は鉄筋に触れられるよう、中の補強筋が露出しています。センサーを通して、バイオマスボイラーやコジェネシステムの働きを確認することができます。このように、学生たちは建築が構造的、環境的にどのように機能しているのかを、常に感じ、観察することが可能です。

群柱、浮床構造、露出した設備配管といった建築的・工学的要素は、建築デザインの背後にあるエンジニアリングの原理に、学生や来訪者を引き込み、それらの理解を促します。

このように学生たちによって日々行われる継続的な観察は、インタラクティブな教育ツールとして、建築の発展に不可欠です。また、これらの実践的な学びの機会に加え、さまざまなグリーン技術がこの建物には取り入れられています。