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狭山の森 礼拝堂, 埼玉県所沢市

静寂の祈りの空間を実現する、エレガントなエンジニアリング

東京郊外の狭山丘陵の中、住宅街、湖、森に囲まれた狭山湖半霊園内に建つ、法要に用いる礼拝堂です。『狭山湖畔霊園管理休憩棟』とともに中村拓志&NAP建築設計事務所による連作であり、アラップは構造・設備・照明デザインの設計・監理を担当しました。

 

柔らかな曲面構造

構造は251本の集成材柱からなり、同時に特徴的な内観を作り上げています。各柱はわずか幅60mmであり、への字型の対となった柱を規則的に配置することにより安定的でありながら独特な曲面を形成しています。すべての木部材は異なる長さと角度で取り付くため、十分な製作精度を確保するために三次元作図および機械による自動加工に加え、最後は職人により細かい仕上げを加えて完成させています。これら木柱の製作、建方誤差はわずか1mmです。この軽やかな木構造を地面から浮いているように見せるため、一部の柱は薄い片持ちのポストテンションスラブに乗せています。

 

さり気ない空調システム

神聖な空間、森に囲まれた空間の中、極力空調の存在をなくし、最小限の空調だけを行うことを試みました。石の仕上げのための70mmのモルタル内に隙間を作りだしてダクトスペースとし、壁との隙間からしみだすように空気を吹き出すことで冷暖房を行っています。木柱のベースプレートが収まるための小さな空間を空気の道とし、構造と設備の融合を図っています。

建築家や施工者との綿密な連携により可能となった、細部まで綿密に作りこまれた、森の静寂に包まれた建物です。

主な受賞歴

2014年 グッドデザイン賞ベスト100
2014年 JIA日本建築大賞 優秀建築賞
2014年 日本建築美術工芸協会・AACA賞 優秀賞
2016年 アルカシア建築賞2016 Building of the Year/Gold