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白河市立図書館, 福島県白河市

大屋根が演出する大空間

白河市立図書館は、白河駅から約徒歩5分、福島県白河市のランドマークである小峰城から徒歩10分ほどの場所にあります。国の史跡に指定された城への景観を考慮し、ロングスパンの勾配屋根が採用されました。
開館準備中に東日本大震災に見舞われ、安全点検のためオープニングが一時延期されましたが、2011年7月に開館の運びとなりました。以来、1日あたりの平均来館者数は1,000人を超えるほどです。夏休みには多くの子どもたちが訪れ、市民の交流の場として利用されています。

プロジェクト概要


3,900 延床面積

10.8m屋根トラススパン

0.9m推定積雪量

近隣からの眺望に配慮

地上3階部分の最高高 (12.7m) から地上階までを繋ぐダイナミックな勾配屋根は、小峰城への眺望を近隣から遮ることなく、図書館に存在感を与えています。
アラップは構造設計と照明コンサルティングを担当しました。平屋建てのように見せるため、屋根の外観は一定の勾配を保ちますが、建物内部の天井側はゆるやかな弓形を描いています。屋根のロングスパン (10.8m) には、軽快な張弦梁システムを採用しました。庇の片持ち部分3.6mを含むと、トラスの全長は14.4mです。白河市の推定積雪量0.9mを支えるために、最も効率的な計画を提案しました。

眺望を楽しむ

1階閲覧スペースのガラスファサードは、横方向に広がる眺望を楽しむためにブレースを配置せず、垂直のマリオンのみで構成しました。そのため、主架構は鉄筋コンクリートとし、張弦梁から成る大屋根の地震力は全て3階で支持するよう設計しました。3次元立体解析プログラムの Midas / Gen を使用して、勾配屋根によって2階と3階が一体化しても、その際に発生する応力を鉄骨部材が問題なく支持できる事を確認しました。

受賞歴

照明普及賞 2011
第33回 東北建築賞作品賞
第30回 福島県建築文化賞 正賞