“波”をデザインモチーフとした大きな曲面屋根のヨットハウス

江の島に建設されたヨットハウス。“波”をデザインモチーフとした曲面屋根が大きな特徴で、屋根のスリットから室内全体に柔らかい自然光が入り込む開放的な空間です。

アラップは、構造設計と自然光シミュレーションを行い、周辺環境を建物内に積極的に取り込むと同時に、構造/施工合理性にも配慮した大屋根を実現しました。

既存のヨットハウスは閉鎖的なイメージが強かったのに対し、建築家は、気軽に訪れることができる誰にでも“ひらかれた”施設を考えました。全体を一枚の曲面屋根で覆い、内外が連続する空間構成です。構造体は、自然光を濾過するコンクリート曲面屋根、海への眺望を妨げないヨットのマストのような細柱で構成し、建築コンセプトを具現化しています。

複雑な形状を合理的に実現するために、様々な設計上の工夫をしています。屋根の初期形状は、仮想鉄板に強制変形を与えることで形成しています。屋根に設けたスリットは“オープンビーム”と名付け、スリット端部に柱を設置し、張弦梁のような機能を持たせ、自由曲面スラブによるロングスパン空間を実現しています。