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SouthBeach Singapore; SouthBeach Singapore;

サウス・ビーチ, シンガポール

サウス・ビーチ

涼しく保つ

「City in a garden庭園の中の都市」というシンガポールの理想を体現したサウス・ビーチ。最大の特徴は、木々の形態と機能に着想を得た、軽いリボンのようなキャノピーです。敷地全体を覆う、全長280mのキャノピーは、直達日射を遮りグレアを抑えるとともに、風の吹き込みも防止します。これにより、キャノピーの下に、年間を通して涼しく快適な環境を作り出すことができます。また、波打つキャノピーの谷の部分は雨水の集水機能を担い、サウス・ビーチの緑豊かなランドスケープの灌漑用水として雨水を利用する計画です。

もう一つ、大事な要素として挙げられるのは、空中庭園です。この空中庭園は、サウス・ビーチの空気の流れを促す“肺”のような役割を担います。これらの革新的な技術は、プロジェクト全体のエネルギー消費量の低減に寄与し、電気では年間2,000 MWh、水使用量では年間174,000m3の低減効果が期待されています。

しっかりと根付かせる

サウス・ビーチの敷地は埋立地と海成粘土層にまたがっています。また、周辺には地下鉄駅や歴史的建造物が点在しています。これらの与条件は土工事の大きな制約となりました。土壌を安定させ、安全に掘削できる環境を作るため、アラップの地質エンジニアリングチームは、直径89mと85mの巨大な囲い堰を計画しました。この囲い堰は基礎としても使用されます。掘削工事の搬出量はトラック16,420台分に及び、開始から6ヶ月後の2012年4月に完了しました。

敷地内の歴史的建造物を保存するため、かつて軍用施設として使われていたビーチ・ロード・キャンプのファサードは、50%以上が再利用されます。1933年に建てられたドリル・ホールのファサード、シンガポール軍発足の地となった建物のファサードとシンガポールの伝統的な様式であるベランダ建築(庇のかかった外部空間のある建物)もその一部です。4棟の保存建築に共通するエントランスロビーとして、回廊も再建されます。

サウス・ビーチは、地下の中庭と階段状の庭園によって活気あるシーンを作り出し、過去、現在、未来の建築をシームレスにつなぎます。

  • Association of Consulting Engineers Singapore (ACES)主催 のDesign Excellence Awards 2016 において Civil & Structural 部門、優秀賞を受賞