2020年11月竣工の「サンスターコミュケーションパーク」(大阪府高槻市)において、アラップは意匠設計者である小林槇デザインワークショップ(kmdw)およびKAJIMA DESIGNと協働し、構造設計、環境設備設計、照明デザイン、音響、IoTコンサルタント、プロジェクトマネジメント(PM)のサービスを提供しました。
コミュケーションパークの名が示すとおり、オフィスを地域に開放し、住民とのインタラクティブなコミュニケーションの拠点となることを目指しています。また、従業員間のコミュニケーション促進や健康や環境にも配慮した空間としており、集中力やイノベーションを高めるといった付加価値を持つ新たなオフィスが誕生しました。
プロジェクト概要
12m アトリウム天井高
S最高ランクCASBEEウェルネスオフィス認証
15,000㎡庭園面積
人にも環境にも優しいサステイナブルなオフィス
サンスターコミュケーションパークは、延床面積約7,000m²、3階建ての建物です。オフィスのほか、1階には従業員や地域住民が楽しめるカフェ・レストランやショールーム、コミュニケーションホールなどを備えます。アラップのエンジニアリングチームは、視認性が高く広いオフィスの空間づくり、建物中央のトップライトとアトリウムを活かした自然光や自然換気システムの採用など、エネルギー消費を抑えることに貢献しました。
季節の彩りを感じられる広大な庭や芝生広場
敷地内には緑が広がり、植物の灌水には井戸水が利用されるなど環境負荷に配慮した計画としています。また、建物の仕様や性能、建物利用者の健康や快適性の向上を評価する制度であるCASBEE-ウェルネスオフィス認証において、最高のSランク取得を支援しました。
© Tsuda Hiroyuki SS Co., Ltd.
スマートフォンから空調システムへフィードバック送る
IoT技術を駆使し、快適な環境を実現
本プロジェクトでは、さまざまな新技術を採用しています。まず、IoTを活用した空調制御システムでは、オフィス内で従業員の感じる「暑い」「寒い」の温冷感を社用スマートフォンからフィードバックとして空調システムへ送ります。利用者全員のデータをシステムが集計し、さらにはその日の天気や季節を考慮した設定温度を各空調機へ自動的に反映します。このシステムはウフル社と連携して開発しました。
© Uhuru
1階 健康道場監修のカフェ・レストラン
作業効率の向上や集中力を高める環境音
オフィス内のレストランや人びとの話し声などの騒音を緩和するため、3D環境音をデザインしています。この環境音の導入によるマスキング効果は、利用者の作業効率の向上や集中力を高め、コミュニケーションの活性化を促します。
© Tsuda Hiroyuki SS Co., Ltd.
位置情報の検索と人流シミュレーション
IoTの活用により、スマートフォンを使ったオフィス内の従業員のリアルタイムな位置情報の検索、感染症発生時の感染者の過去の行動範囲の追跡、データにもとづく接触者の特定や除菌など、速やかな対応も可能となっています。
その他にも、IoTを駆使することで、将来、空間の利用状況の把握や人流シミュレーションを活用したオフィスレイアウトの検討など、より満足度の高いオフィス環境づくりに情報を役立てることが可能です。
建物外観の夜景
先進的な技術導入を可能にしたプロジェクト運営
「オフィスらしくないオフィス」「快適で健康的」「地域や消費者との交流」といったコンセプトを実現するべく、PMは積極的に設計に関与しました。発注者がメリットやリスクを理解した上で判断できるよう情報を整理し,必要に応じ提案の修正を設計者や施工者に求めました。また、発注者を含めたプロジェクトチームのフラットな関係性の維持につとめ、10人程度のコアメンバーが密に連携し同じゴールを共有することができました。
© Tsuda Hiroyuki SS Co., Ltd.
受賞歴
2021年度 第34回 日経ニューオフィス賞 推進賞
2021年度 グッドデザイン賞