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シドニーオペラハウス, シドニー

後世につたえるべき建築

シドニーオペラハウスは世界的に有名な建築であり、新築当初からアラップは深く関係しています。創立者オーヴ・アラップは1950年代に原設計に携わっており、その後もアラップはこの施設の改築や保存プロジェクトに長い間かかわっています。

1957年、デンマーク人建築家ヨーン・ウッツォン氏は、この施設を新設するための国際コンペで最優秀賞に選ばれました。コンクリート構造の設計実績が買われ、オーヴ・アラップは設計プロジェクトの初期段階から関わり、ウッツォン氏のスケッチを実現すべく奮闘しました。その中で、アラップ・チームは後に語りつがれるような、大きな技術的課題に直面しました。それは巨大なプレキャスト・コンクリートシェル構造に関する、設計と施工性についてでした。

 

Project Summary


820万人 年間来場者数

2,500+演劇やイベントの年間開催数

7劇場数

屋根を形作るコンクリートシェル構造の施工方法について、オーヴとアラップ・チームは何年もの間、考え続けた

斬新なコンセプトを実現するために

ウッツォン氏はコンペ当時、フリーハンドで描いた形態を、リブの無い薄膜コンクリート構造で形成することを想定していました。ですがオーヴはすぐに、この方法は巨額の施工費が必要となることを指摘しました。屋根の形状が極めて複雑なため、構造計算を行うことは非常に困難で、多くの時間を費やしました。1960年代のコンピューターの計算能力はまだ不十分であったため、必要なプログラムはほとんどエンジニアが作成しました。この先駆的なコンピューターの使用により、複雑な形態の構造解析が可能となり、実現にたどり着きました。

シェルの曲率を球面に合わせることで、シェル制作時にプレキャスト・コンクリート・リブの型枠を繰り返し使うことができます。これらのリブには、タイルを取り付けるための金具が、球面のジオメトリーに沿うように設置されました。この発想によりタイルのパネリングの計算と、コンクリートのプレキャスト化が可能となりました。そして球面と同形のシェルの表面には、V型パターンのタイルが取り付けられました。

エンジニアリングの偉業

1973年、シドニーオペラハウスはエリザベス女王も参列の中、開館しました。ベネロング・ポイントの突端で輝く“帆”のようなこの建物は、シドニーの街とオーストラリアを代表する、象徴的な建築デザイン、芸術文化そしてそれ以上のベンチマークといえるプロジェクトになりました。今日、シドニーオペラハウスは演劇や、オーストラリア・オペラ、バレエ、シドニー交響楽団の本拠地として、多くの人に利用されています。


技術的問題は限定できず、良い解、悪い解、どちらでも無いなどの多くの解決方法が存在します。良い解決法に到達することは“芸術”といえます。それはイマジネーションや直感、そして慎重な選択を含む創造的な活動なのです
オーヴ・アラップ ” Sir Ove Arup Sir Ove Arup Founder

象徴的な建築をいかに維持していくか

アラップはシドニーオペラハウスに対するこれまでの実績により、2007年に行われた改修プロジェクトを任されました。新築当時の手書き図面を元に3Dモデル作成し、それを使って改修計画を立てていきました。その結果、搬入用トンネルや搬入スペースを地下に新設しました。これにより、一週間あたり車1,000台の出入りが許容でき、6ヶ所の劇場と7つのレストランの運営が可能となりました。

“ショー”は途切れることなく

改修プロジェクトでは3Dモデルを使って設計し、施工前にはデジタルデータを用いて計画の検証を行いました。これにより大きな混乱もなく、劇場を使用しながら施工を進めることができました。さらに、施設要素を盛り込んだBIMモデルも完成させました。躯体、設備、ドア、照明などその他にも多くの要素が入力されています。これによりメンテナンス要件を予測し、運用コストとダウンタイムを減少させ、全体の効率を向上することができるようになります。

全ての公演が通常通り行わるように、改修の工事計画は綿密に検討された

将来にわたる保存戦略

アラップはシドニー大学と共同して、当時の技術の粋をつくして設計されたこの建築を後世に残すべく、保存プロジェクトにも取り組んでいます。建物に使用されたコンクリート等の材料の状態に関する重要なデータを収集することに始まり、タイルに取り付けられた金物やシーリングの材料試験などを行っています。このプロジェクトにより、世界有数の建築であるシドニーオペラハウスについて、あらゆる側面に関する詳細な研究結果が得られることでしょう。

Australia now has an Opera House fit for the 21st century

未来にむけて

この建築は今後も適切に保存され、円滑に利用され続ける必要があります。 シドニーオペラハウスはアラップの象徴です。この建築を維持するために、私たちが何十年にもわたって貢献できていることを誇りに思っています。