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Shenzhen Stock Exchange, 深圳市

プラットフォームの下に広がる大空間は、“都市の広場”として利用されている

深圳証券取引所は、深圳市の市政・文化の中心からほど近い場所に位置し、深圳の新たな経済地区を代表するランドマークとなっています。中国のグリーンビルディング評価システムである緑色建築設計標識に基づいて設計された、先進的な事例の一つでもあります。

高さ245m、51階建の超高層には、証券取引所のオフィス、立会い場、登録所、手形交換所に加え、情報セキュリティ会社、その他附帯設備が配置され、延床面積は175,000m²に及びます。

宙に浮かぶプラットフォーム

デザインの大きな特徴となっているのは、地上から持ち上げられたプラットフォームです。宙に浮かぶプラットフォームは3層で構成され、証券取引所を支える機能が配されています。プラットフォームが地面から離れることで生まれた、地上の大空間は、“都市の広場”として市民の集会やイベントの場に使用されています。また、プラットフォームの下には電光掲示板が掲げられ、時々刻々と変動する相場情報をリアルタイムに伝えます。

深圳市は地震発生地域でもあるため、構造には高い耐震性能が要求されます。そこで採用されたのが、メガトラスです。プラットフォームは、巨大なトラスで構成され、高層部の自重、台風時の風荷重、地震荷重を下部構造へと伝える役割を担います。この革新的な構造計画により、高い耐震性能を実現しました。

設計には緑色建築設計標識も採り入れ、構造設計、ビルディングフィジックス、照明デザイン、建築設備設計、各分野において、洗練したエンジニアリング・ソリューションを提供しました。

総合的なサステイナビリティ・デザイン

深圳証券取引所は、緑色建築設計標識の認証で最も高い“三ツ星”を獲得しました。この認証を取得した建物はまだ少なく、深圳証券取引所は先駆的な存在といえます。とりわけ省資源については高い目標を掲げており、基準に対し40%の節水と20%の省エネルギーを目指しています。

省エネルギー実現のためには、自然換気をはじめ、昼光利用、エネルギー性能、温熱環境等についても検討が必要です。これには、CFD解析、ラディアンス、回折光学解析といった最新のシミュレーションツールを用いた検証が行われました。

一貫してサステイナブル・デザインの手法を用いることで、経済、社会、環境の異なる課題に対して、最適なソリューションを導くことができました。経済成長著しい中国において、“グリーンビルディング”の概念はまだまだ一般的ではありません。深圳証券取引所は、中国のサステイナブル建築のプロトタイプとして新たな基準を示し、国内のサステイナブル・デザインの動きを加速することが期待されます。