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Kingsgate footbridge; Kingsgate footbridge;

キングスゲート・ブリッジ, ダラム

キングスゲート・ブリッジは、アラップの目指す“トータルデザイン”

イングランド、ダラム市を流れるウィア川に、RC造の歩行橋が架かっています。キングスゲート・ブリッジ、オーヴ・アラップが自身で構造設計を手掛けた最後のプロジェクトです。

アラップは数々の実績の中でも、この作品が最高だと自負していました。竣工は1963年です。アラップは、各部の詳細に至るまで自身の手で設計し、斬新な施工方法の提案も行いました。橋の構造体を半分ずつ川の両岸で打設したのち、岸から回転させて川に渡し、中心を接合するという工法です。この工法は、通常であれば不可欠な仮設足場を、川の中に設けずに施工することを可能にしました。

2つの構造体は、シンプルなデザインの銅製エキスパンション・ジョイントによって繋がれています。また、回転させるためにはそれぞれの基礎部分に軸受が必要でした。使用するのは施工時の一度きりなので、必要な強度は満たしつつ、安価なものが採用されています。

シンプルかつエレガントなエンジニアリングであるが故に、橋が架かるその時は、設計チームにとって緊張の一瞬でした。


 

当時のプロジェクトマネージャーであったジョン・マーティンは、次のように語っています。「オーヴは失敗など全く考えていないようでした。それが良 い結果をもたらしたのだと思います。チーム一人ひとりが、絶対に成功させねば、という使命感を抱くことにつながりましたから。しかしながら、その使命感か ら施工手順が慎重になることを、彼は快く思っていませんでした。オーヴから見れば不要な手順を踏むことで、エレガントなアイディアが台無しになると考えて いたようです。」

コンクリート・クォータリー誌ではこの作品を「すらっと立つ指に据えられ、谷間にぴんと張られた、薄く白い帯」と表現しました。キングス ゲート・ブリッジは、アラップの目指す“トータルデザイン”、すなわち“エンジニアリングと建築のシームレスな融合”をよく表したプロジェクトといえま す。

アラップは数々の実績の中でも、この作品が最高だと自負していました。竣工は1963年です。