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1 Blight Street; 1 Blight Street;

ワン・ブライ・ストリート・シドニー, シドニー

ダブルスキン・ファサードをそなえた、シドニー湾岸の超高層

シドニー都心部の新たなランドマークとなったワン・ブライ・ストリート・シドニー。この建築は、オーストラリアの高層建築に革新をもたらすと同時に、サステイナビリティの指針を示しました。高水準のサステイナビリティを実現させたのは、高機能ダブルスキン・ファサード、自然換気アトリウム、ハイブリッド設備システムといったデザイン要素です。

景色を堪能するファサード

ワン・ブライ・ストリート・シドニーはシドニー湾の南側に位置しており、ファサードを北側に向けた配置計画によって、眼下に素晴らしい景色を望むことができます。しかし、日差しの強いシドニーでは、日射遮蔽が不可欠です。一般的に、オフィスビルのファサードには、遮蔽効果が高く、可視光透過率の低いガラスが使われます。一方、このタワーには透過率の高いガラスが使用され、シドニー湾の景色を楽しむことができます。これを可能にしたのが、ダブルスキン・ファサードです。これにより、透過率の高いガラスを用いながらも、必要な遮蔽性能を確保することができました。

ダブルスキンは本来、ヨーロッパの寒冷な気候で用いられる設計手法です。そのため、温暖なオーストラリアでは比較的新しい技術であり、ダブルスキンを高層建築に採用したのは今回が初めてです。

日射遮蔽を担う外部ブラインドは太陽の動きに合わせて自動制御され、必要に応じた遮蔽性能を発揮します。また、素晴らしい眺めを望みたい、日の光を入れたい、という場合には、完全にブラインドを上げてしまうことも可能です。

最先端のサステイナビリティ構想

この建物は、オーストラリアの環境性能評価を取得しており、グリーンスター(Green Star Office Design V2 Certified Rating)で6つ星、NABERSで5つ星を得ています。

前述のダブルスキンに加え、サステイナビリティに寄与する要素として、トリジェネレーションと連携したソーラークーリング・システムが挙げられます。トリジェネレーション・システムは、熱源から生産される熱、電気に加え、二酸化炭素も有効活用するシステムで、オーストラリアのオフィスビルで初めて導入されました。このシステムの採用によって、25%の節電を達成し、ひっ迫する都市部のインフラへの負担低減につながっています。また、建物全体で冬期のフリークーリングが実現しました。

輻射空調設備、パッシブチルドビームも革新的な技術の一つです。ペリメータに設置された輻射空調設備は、常に変化する日射負荷を効果的に処理することができます。また、冷却水に建物内の排水を再利用することで、1日あたり10万リットルもの節水を達成しました。

30階建タワーを貫くアトリウム

頂部にトップライトを配したアトリウムは、30階建タワーの全層を貫く壮大な空間を作り出しています。アトリウム内にはバルコニーやブリッジが横切り、各階で空間の連続性と解放感を得ることができます。こうした場合には往々にして、音の伝搬が問題になりますが、会話がアトリウムを介して他の階に伝わることのないよう、対策が取られています。もう一つの大きな特徴は自然換気による空気調和です。ガラスルーバーから外気を取り込み、換気をすることで、冷房せずに内部は快適に保たれています。

平面は特徴的な楕円形をしていますが、この楕円形平面によって、どこにいても日の光が感じられ、外を眺められるという体験が可能になりました。実際に、床面積の74%がファサードあるいはアトリウムから8mの距離に納まるよう計画されています。執務空間の空気環境にも配慮されており、オーストラリア基準を50%上回る高い水準の換気量が設定されています。

ワン・ブライ・ストリート・シドニーは、ディクサス・プロパティ・グループとディクサス・ホールセール・プロパティ・ファンド、シーバス・プロパティの共同所有建物です。アラップは、機械・電気設備、ファサードエンジニアリング、照明デザイン、音響、防火、構造アドバイスを担当しました。

(ワン・ブライ・ストリート・シドニーのホームページ)