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エントランスホール; エントランスホール;

日本コカ・コーラ株式会社 本社ビル, 東京都渋谷区

国内の食品飲料業界初LEED認証プラチナ取得ビル

東京・渋谷にオフィスを構える日本コカ・コーラ株式会社の本社屋は、2016年12月にLEED(環境性能評価制度)認証の最高レベルであるプラチナを取得し、世界的な飲料メーカーとして初となるグリーンビルディング認証となりました。

アラップはサステイナビリティ・コンサルタントとして、LEED認証プラチナ取得のサポートを行い、コカ・コーラのサステイナビリティへの取り組みを推進する上で重要な役割を果たしました。また、光井純&アソシエーツ建築設計事務所と協働し、基本設計において環境設備と構造設計を担い、実施設計と施工段階においては設計監修を行いました。

本プロジェクトは、40年ぶりとなる日本コカ・コーラ株式会社 本社屋の建て替え計画でした。高さ36.2m、延床面積12,000m²のオフィスビルには600名以上の従業員が働いています。
建物、東側のガラスのカーテンウォールは、コカ・コーラのコンツァーボトルを連想させる曲線を描いた形状とし、アイコンであるグラスボトルの色「ジョージアグリーン」を全面に採用しました。内装の随所に、グラスボトルやクラウンなど自社のブランドを意識したデザインを散りばめることで、従業員のブランドロイヤルティやモチベーションを高める役割を果たしています。

プロジェクト概要


25m アトリウム

3-7コミュニケーションステップ

LEEDプラチナ ver. 3 新築

自然光の降り注ぐコミュニケーション空間

本プロジェクトでは、スタッフ間のコミュニケーションとコラボレーションを促進する魅力的かつ効率的な職場空間とすることを目指しました。その中で最も特徴的なのは、建物正面に設けられた、3階から7階に向けて吹き抜ける「コミュニケーションステップ」と呼ばれる階段と大きな踊り場です。この空間は、働く人たちの交流の場となるほか、階段利用による健康促進のねらいもあります。仕切られることなく、利用者が開放的で一体感を感じられる空間としました。また、街に対して内部の様子が外からも見えるため社内の活動を演出するオープンな場にもなっています。


建物東側のファサードは、上階が浮いて見えるようにデザインされており、下階のエントランスフロアやカフェテリアはのびのびとした拡がりのあるスペースを提供しています。

東側の雁行した上階のファサードを片持ち形状とし、西側バックヤードにトラス柱を設けることで、梁の固定度・剛性を高めています。それによって床の上下振動を抑制し、最大25mもある無柱のオフィス空間を実現することができました。

災害に強い免震構造

利用者の安全性を確保するため、災害に強い免震構造としました。
1階下の中間層を免震層として、免震装置には天然ゴム系積層ゴム支承を採用し、地震時のエネルギーを吸収する鋼材U字ダンパー、オイルダンパーも配置しています。

角地に位置するL字型の本建物は、道路側を「表」に、集合住宅に隣接する南西側を「裏」として構造計画をしました。建築計画を実現するため、建物の「裏」に主要な耐震要素を集約しました。耐震要素は南北方向にブレース、東西方向にトラス柱を配置することで、地震に対して効果的に機能するシステムを実現しています。そのため、「表」は構造部材の少ない開放的なデザインが可能となり、透明性を最大限に引き出したスッキリとした印象に仕上げることができました。

快適性と省エネルギーの実現

ガラスファサードにはLow-Eガラスを使用。エアバリアファンによる簡易エアフローウィンドウシステムを採用することにより、執務空間からの開放的な眺めを確保しつつ、ガラスからの熱負荷低減を効果的に行えるようにしました。共用部やオフィス空間は、LED照明器具・昼光センサー・人感センサーによる自動調光にて人工照明の使用を極力抑え、自然採光を最大限に利用できるようにしています。
空調においては、個別制御性に優れるVRV方式を採用し、高顕熱運転や外気取り入れのCO2濃度制御を行いました。独特の形状をした東側ファサードには風の方位を考慮したウインドキャッチャーとなる通気窓を設け、北側ガラス張りの「コミュニケーションステップ」の空間上部に排気窓を配置することでソーラーチムニーの効果も利用し、外気を積極的に取り込む自然換気を行えるようにしています。


屋上には太陽光パネルを設置し、自然エネルギーを有効利用するとともにBCP対策として72時間対応の非常用発電機を導入。災害時においてもサーバー室などの重要負荷や執務室の照明、コンセントへ電源の供給を可能としました。
また、コカ・コーラが飲料メーカーとして掲げている「water neutrality」のポリシーのもと、雨水排水をトイレの洗浄水や屋外散水に再利用すると共に、節水型器具を採用しています。

これらにより快適性と省エネルギーを両立しつつ、自然エネルギーを利用することで地球環境にも配慮した計画を実現することができました。


(本ページの内容は、2016年竣工時の情報となります)

2階コカ・コーラカフェ © Coca-Cola (Japan) Company, Limited